日本だけ?海外と何が違うの?
海外では、入院早期から身体を動かすリハビリが行われます。これは日本でも同じです。
でも、北欧や多くの先進国での基本は
「本人ができる事は本人にしてもらう」を前提としています。
例えば、食事の場合、麻痺があっても「自分の腕と手を動かして食べる」ことを基本としています。
よって、本人が動かすのですから、これがリハビリになり、関節拘縮が起き難くなります。また、本人のペースで食べるので誤嚥も起きにくくなると言われています。食べこぼしても「自分で食べる」ということを優先させているのです。
一方、日本の多くの高齢者施設で見られる「食べさせてあげる」をやっているどうなるでしょう。
腕ももちろん、手も動かさなくていいので拘縮が発生し最悪は動かなくなります。
高齢者になると、毎日の日常生活での活動が大切なリハビリなのです。
福祉用具はどうでしょうか?
基本は
「身体状況、使う環境に合わせ、なるべく本人が使えるように選び、調整する」「介護者のリスクを少しでも少なくする」
これが大前提です。海外も日本も同じです。
しかし、、、
写真は日本で撮影したものですが、どうでしょう。左側の車いすは、多くの病院で使用されている標準型と呼ばれるもので、いまだに多くの施設で使われています。
腕を載せる部分も固定で、調整できる個所はありません。座面の大きさや高さが合わないと、前にズレて骨盤が傾斜しています。肩も上にあがり見るからにつらそうな状態です。
このような身体に合っていない車いすに長時間座らせること自体をやってはいけません。背骨が変形します。
これに対して、海外では右側のモジュラー式車いすが標準です。
座面の高さや腕を載せるアームレストの高さ、足の長さに合ったステップの位置を調整できるので、姿勢よく座ることができます。骨盤も立ち、大腿部でしっかりと体重を支えることができ、腕でも支えることができるので長時間の姿勢でもつらくなさそうです。
また、腕を下せばタイヤがありますから、自分の腕を使ってタイヤを回し、移動することも容易になります。
日本の多くの病院・施設では、既にある物を使うことが前提であるため、患者に合わせて福祉用具を選べる環境にはありません。
よって、多くの施設で写真のようなずっこけ姿勢が多発しています。
在宅になると、介護保険が使えるのでモジュラー式も選べますが、病院や施設で変形した状態を作り、在宅に帰されても意味がありません。
海外ではベッドから車いすへ移る(移乗/いじょう)ときに、抱え上げを禁止しています。その代わりに写真の様なリフトなどの移乗機器を使うことを義務化しています。
理由は、
1.介護する人が腰痛となり医療費を使う。社会的損失が大きい。
2.移乗の時に足元が見えないので怪我をさせている
3.支えきれなくなると転倒し怪我をする
4.患者側にも緊張と苦痛が発生する
ということなどです。
この人力による移乗やベッド上での背上げ、引きずりなどは日に数十回も行われ、月に1000回、年間に1万回位行われます。
これだけやられると、筋肉の緊張が緩むことがなく、関節の動く範囲が狭くなり、関節拘縮となり、やがて変形へとなると思われます。
このように海外ではなく、日本にしかないと言われる原因は、
「苦痛をあたる不適切な人力介護」と「不適切な福祉用具サービス」の結果と思われます。